中平卓馬『見続ける涯に火が… 批評集成1965-1977』 | |||||
発売:2007年4月10日
総頁数:512頁 |
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思考が視覚を批判し、視覚が思考を試練にかける。中平卓馬の遺した仕事に見られるそのような葛藤の痕跡は、ゴダールの仕事に勝るとも劣らぬ強度で今もわれわれを圧倒する。遺した? いや、写真家は、記憶の大半を失い、書くことをやめた後も、日々撮影を続け思考を続けている。その姿はわれわれに究極の真理を教えるだろう。脳ではない、眼が思考するのだ。だが、そのような境地を垣間見るためにも、まずは、彼が脱ぎ捨てた、しかし今も生気に溢れる過去の思考の殻を、われわれの「灰色の脳細胞」でつぶさに検討するところから始めなければならない。(浅田彰)
■本書の概要 |
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目次
I 同時代的であるとはなにか 1965-1970 映像は論理である──東松照明とグラフジャーナリズムの現在 II イメージからの脱出 1970-1971 写真は言葉を挑発しえたか III 記録という幻影 1971-1973 モロッコ、絵はがきの風景 IV なぜ、植物図鑑か 1973-1975 なぜ、植物図鑑か V 視線のつきる涯 1976-1977 奄美──波と墓と花、そして太陽 □ 中平卓馬(なかひら・たくま)
1938-2015 東京生まれ。東京外国語大学スペイン科卒業後、総合雑誌『現代の眼』編集者を経て、60年代半ばから写真を撮りはじめ、同時期よりさまざまな雑誌に写真や映画に関する執筆を開始する。68〜70年には多木浩二、高梨豊、岡田隆彦、森山大道とともに「思想のための挑発的資料」と銘打った写真同人誌『プロヴォーク』を刊行。70年に写真集『来たるべき言葉のために』を上梓した後、73年には映像論集『なぜ、植物図鑑か』で、それまでの自作を批判的に検証。77年に篠山紀信との共著『決闘写真論』を刊行直後、病に倒れて生死の境をさまよい、記憶の大半を失うが、以後も写真家としての活動を継続。2003年には横浜美術館で初期から2003年にいたる800点におよぶ作品群による「中平卓馬展 原点復帰−横浜」を開催し、その図録を兼ねた写真集『原点復帰−横浜』刊行。以降も新作による個展開催、また内外のグループ展にも参加。2011年には大阪Sixにて、大規模な新作展「キリカエ」を開催された。 |