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中平卓馬『来たるべき言葉のために』
『来たるべき言葉のために』表紙

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伝説の写真集、甦る!
制度的言語への苛烈な挑発から40年……
写真の歴史は中平卓馬に追いついたのか?

発売日:2010年6月21日

総頁数:160頁
写真点数:モノクロ100点(ダブルトーン)
体裁:A4変型判、ハードカバー
定価:6,600円+税
ISBN978-4-9901239-8-7
装本:服部一成

付録=中平卓馬エッセイ収録英文小冊子

1970年に刊行された『来たるべき言葉のために』は、1960年代後半から70年代にかけて、従来の映像美学を覆すラディカルな作品によって日本の現代写真に大きな転換をもたらした写真家、中平卓馬の初の写真集として、写真史にその名を残しています。けれども、刊行から40年を経て同書の入手は困難となり、掲載作品のごく一部が繰り返し紹介されるという残念な状況がこれまで続いてきました。これら一連の写真は、1973年のエッセイ「なぜ、植物図鑑か」において作家自らが批判し、乗り越えるべき対象とした作品群ですが、作者がそれを否定した意味を再考するためにも当の作品が提示されることは充分に意義深いことのはずです。現在も写真家として日々活動を継続している中平卓馬の初期写真集をとらえなおし、いまなおアクチュアルな作品として再発見することを企図して、本書をここに再刊いたします。

本書は、1970年11月に風土社より刊行された中平卓馬『写真集 来たるべき言葉のために』を巻末の文章を除いて再刊したものです。再刊付録の英文小冊子には、「中平卓馬の軌跡−−『来たるべき言葉のために』再刊にあたって」(八角聡仁)、および中平卓馬著作から三篇(「写真は言語を挑発したか?」「風景の叛乱 見続ける涯に火が…」「都市への視線あるいは都市からの視線」)の英訳を掲載。訳出した中平著作の原文はいずれも小社刊行の『見続ける涯に火が… 批評集成1965-1977』(2007年刊)に収録されています。

中平卓馬(なかひら・たくま)
1938-2015

東京生まれ。東京外国語大学スペイン科卒業後、総合雑誌『現代の眼』編集者を経て、60年代半ばから写真を撮りはじめ、同時期よりさまざまな雑誌に写真や映画に関する執筆を開始する。68〜70年には多木浩二、高梨豊、岡田隆彦、森山大道とともに「思想のための挑発的資料」と銘打った写真同人誌『プロヴォーク』を刊行。70年に写真集『来たるべき言葉のために』を上梓した後、73年には映像論集『なぜ、植物図鑑か』で、それまでの自作を批判的に検証。77年に篠山紀信との共著『決闘写真論』を刊行直後、病に倒れて生死の境をさまよい、記憶の大半を失うが、以後も写真家としての活動を継続。2003年には横浜美術館で初期から2003年にいたる800点におよぶ作品群による「中平卓馬展 原点復帰−横浜」を開催し、その図録を兼ねた写真集『原点復帰−横浜』刊行。以降も新作による個展開催、また内外のグループ展にも参加。2011年には大阪Sixにて、大規模な新作展「キリカエ」を開催された。