osiris

港千尋
『写真という出来事──クロニクル1988-1994』

在庫切れ

 

写真という出来事

ベルリンの壁崩壊を挟む激動のヨーロッパの渦中から、転換期を迎えた写真と視覚文化をめぐる動向をさまざまな各度からレポート。イメージと歴史の関係を問い続け、写真家・批評家として幅広く活躍する著者の原点となった批評的フィールド・ワークの貴重な記録。人名・件名・テーマ索引付き。

■目次

はじめに

1988
一九八〇年代のオン・ザ・ロード
薄暗い部屋で――ドガとフォーコン
記録性と劇場性――クーデルカ一九六八−八八、ジャム−一九八八
新しいモデルニスモ――カタルーニャ写真フェスティヴァルから
一九世紀への旅――オルセー美術館所蔵作品展
写真スペクタクル――第十九回アルル国際写真フェスティヴァル
写真の「再解釈」――第一回ロッテルダム写真ビエンナーレ
歴史と日付――一九四八年展、ジャーン展、フェノア展
写真に占領された都市――第五回パリ写真月間を見る

1989
ルポルタージュはどこへいくのか
瞬間を語る――カルティエ=ブレッソン賞記念展から
アルファベット物語――「文字の眼」展
熱帯の写真家たち――バリの光と闇
実験とはなにか――ディーター・アペルトの世界
大きな写真――美術空間と社会空間
南からのイメージ――第二十回アルル国際写真フェスティヴァル
発明家の部屋で――ブルゴーニュへの旅
起源と独自性――オルセー美術館の写真百五十年記念展より
ビッグ・ショウについて――「芸術の発明」展

1990
DATARの全貌――写真による風景
写真美術館のつくり方――空間の利用について
現実を追い越せ――ベルリンの胎動
無名の行為・匿名の創造
写真が奏でる音楽――白岡順の世界
さまざまな消滅――都市・写真・歴史
海峡横断写真作戦――ノール・パ・ド・カレー写真センターの活動
電子映像時代の芸術――ウォーホルによる写真小史
「抵抗」するドキュメンタリー――第二回ロッテルダム写真ビエンナーレから
イメージの交差点で――電子メディア時代の映像史
再発見される「日本」――第六回パリ写真月間

1991
ファミリーの残像
写真館の小宇宙
プルーストを探して
写真の目覚め――国立図書館最新コレクション展
危険な記号――ロラン・バルト再考のきざし
ブルトンの宇宙――シュルレアリスムと写真
「EU写真」について――浮上するコンテンポラリー
さまざまな「発見」――第二十二回アルル国際写真フェスティヴァル
「謎の隣人」の百五十年初公開――ベルギー写真の歴史展
ムンクと写真――北の光に魅せられて
セーヌ通り六番地の驚異――ロジェ=ヴィオレ写真エージェンシー

1992
ジゼル・フロイントに聞く――政治とメディアのはざまで
オークションで写真を見る――複製芸術のパラドクス
ジャコメッティのアトリエ
自由落下の可能性――日本で見る現代フランス写真展
仮想風景を考える1――ルイス・ボルツの新作
文化財としての写真
アクトする写真――フォルム・シュタットパルクを訪ねて
仮想風景を考える2――ポール・ヴィリリオの写真
仮想風景を考える3――ロッテルダム写真ビエンナーレ「荒地」から
アイディンティティーと差異――グラーツ市から
写真月間現象――第七回パリ写真月間

1993
フナックの写真戦略――チェーン化する写真展
漂流するジャーナリズム――『リベラシオン』と『ディプロピー』の実験
タンジールの想い出――ポール・ボウルズに導かれて
ドキュメンタリーの現在――「ヤラセ」を超えて
保存の力学――ダゲレオタイプが生まれた窓
領土の終焉――セバスティアン・サルガド「人間の大地」
典型的なドイツ人について――一九九三年のアウグスト・ザンダー
思考のための写真――ドキュメンタリーの新しい媒体
二十年後――パリで見る荒木経惟『終戦後』
時代のパースペクティヴ――迫りくる危機に向けて

1994
サラエヴォの瓦礫のなかで
大西洋の写真家――ピエール・ヴェルジェ回顧展
ストリートの戦争
遊歩者たちの夢
道草の人へ――ロベール・ドアノー追悼
乳の道と麦の道
ナダール 一九九四
イメージの親密な宵――「カオールの春」から
カルロスの写真と「西から東へ」
路上へ帰れ
夜の光
マルヴィルの街とストリンドベリの顔
写真の屋根裏部屋から
タクシー写真家ハミド

あとがき

人名・事項・テーマ索引

港千尋略歴
1960年、神奈川県生まれ。
1982年、ガセイ奨学金(アルゼンチン)を受け、 南米各地に滞在。
1984年、早稲田大学政治経済学部卒業。
1985年より、パリを拠点に写真家、批評家として活動。写真家、 評論家。現在、多摩美術大学美術学部教授、オクスフォード大学およびパリ大学の客員研究員。

写真集に、『波と耳飾り』(新潮社)、『明日、広場で――ヨーロッパ1989-1994』(新潮社)、『瞬間の山』(インスクリプト)他。
著書に『群衆論』(リブロポート)、『考える皮膚』(青土社)、『注視者の日記』(みすず書房)、『記憶――「創造」と「想起」の力』(講談社)、『映像論』(日本放送出版協会)、『洞窟へ』(せりか書房)、他。
■〈フォト・リーヴル03〉
■『写真という出来事──クロニクル1988-1994』
■著者=港千尋(みなと・ちひろ)
■頁数=304頁
■参考図版点数=45点
■体裁=四六判
■定価=2800円+税
■ISBN=4-309-90179-4
■発売日=1998年3月10日
■編集・発行=オシリス
 〒150-0011渋谷区東3-21-14-402
 Tel. 03-5485-0991
 Fax 03-5485-0993
 E-mail: mailosiris@nifty.com