たとえば、大きな水しぶきが上がっている写真について
ある晴れた秋の日
真鶴に息子を連れて出かけた
息子がお世話になった人が開いた小さな展覧会を観に行った
息子は展覧会の内容に興味を示すわけでなく、会場のカフェのごはんをたいらげると、そそくさと店を出て、ずんずん坂を下りて、海へ向かう
この時期にしては暖かい日
水が大好きな彼は、水に入る欲求を抑えきれない
その衝動は、彼が抱える障碍がなせる業なのか
彼に世の中のことを教えなければいけない立場の自分
本能のおもむくままのその自由さを圧しとどめていいのかという葛藤
入らないよと息子を止めつつも、きっとそうするだろうと着替えやビニール袋はあらかじめ持ってきている
漁船が停泊している港の隅っこで、大きな水しぶきを上げて海に飛び込む息子の一瞬に、カメラを向けて、シャッタ−を切る
ちゃんとカメラを覗いたかどうかはよく覚えていない
そして写った写真には、そんなささやかな紆余曲折は写りこんでこない
「どうしよう」と「わからない」がずっと連なる毎日
原美樹子
会期=2015年5月29日(金)〜6月7日(日)
13:00〜20:00(最終日は18:00まで) 会期中無休
会場=実家 JIKKA
東京都千代田区外神田3-6-14 深野ビル1F
東京メトロ銀座線末広町3番出口より徒歩5分
オープニング・レセプション
2015年5月29日(金)18:00〜20:00
トーク・イヴェント 倉石信乃(明治大学教授)+原美樹子
2015年5月30日(土)15:00〜16:30
プレスリリース (PDF)
お問い合わせ先=オシリス info@osiris.co.jp Tel.03-5485-0991
(会場である「実家JIKKA」直通の電話はございません)
原美樹子(はら・みきこ)
1967年、富山県生まれ。1990年、慶應義塾大学文学部卒業。1996年、東京綜合写真専門学校研究科卒業。1996年に初個展「Is As It」開催。以降、国内外のグループ展や個展で作品を発表。2007年には、ニューヨークで個展「Blind Letter」開催。2014年には、ゲティ美術館(ロサンジェルス)で開催された4人の日本人写真家による「In Focus: Tokyo」展に長野重一、森山大道、瀬戸正人とともに出品。ゲティ美術館、ヴィンタートゥアー美術館他に作品が収蔵されている。
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