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清野賀子写真集『至るところで 心を集めよ 立っていよ』

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発売:2009年9月20日

総頁数:72頁(写真点数=カラー48点)
体裁:タテ173mm×ヨコ259mm、ハードカバー
定価:3,500円+税
ISBN:978-4-9901239-7-0
ブックデザイン:服部一成

2003-2009年撮影

エッセイ(和英併記)
清野賀子「至るところで 心を集めよ 立っていよ」

ランドスケープ写真の一つの到達点ともいえる写真集『The Sign of Life』(2002)から7年を経て、本書は写真家・清野賀子の2冊目の写真集となります。

本書に収録した写真のほとんどの撮影地は東京で、35ミリの小型カメラを使用しています。出会った対象に即応するように、時には被写体に近づいた位置から、街や事物や人物など、さまざまなものに視線が向けられています。けれどもこれらの写真のいずれにおいても、スナップショットともプライベートな生活の記録とも異なる、独特のヴィジョンが立ち上がっています。

「写真とは何か」を常に考えてきた清野賀子は、特定のテーマを設定し被写体を選ぶのではなく、言葉に置き換えることができないヴィジョンを求め、写真家の身体が被写体に反応したその瞬間に起きた出来事の痕跡としてのイメージ自体にできる限り語らせる……その独自の写真へのアプローチは、私たちの世界に対する知覚のあり方や思考を変える可能性をも備えている写真というメディアの特性を、新たに発見しようとする一つの試みだと言えます。

カメラという装置を使って、名も無き被写体たちの〈存在の輝く瞬間〉をとらえ、そこに見る者と世界に向かって開かれた〈通路〉を提示し得る可能性……それが、清野が写真というメディアに託した事なのかもしれません。

なお、「至るところで 心を集めよ 立っていよ」は、ドイツの詩人パウル・ツェランの晩年の詩からとられています。

清野賀子(せいの・よしこ)
1962-2009

東京生まれ。1995年より写真を始める。

個展
1996 「Yoshiko Seino with Switch」コム・デ・ギャルソン本店、東京
1999 「Emotional Imprintings」ギャラリー小柳、東京
2003 「The Sign of Life」ヴィンタートゥーア写真美術館、スイス
2008 「a good day, good time」ギャラリーTRAX、山梨
   「a good day, good time」プンクトゥム、東京

グループ展
1998 「Gel」ダメリオ・テラス、ニューヨーク
2000 「Sensitive」カオール写真祭、カオール、フランス
   「反記憶--現代写真II」横浜美術館、横浜
2001 「Surface: Contemporary Photography, Video and Painting from Japan」オランダ写真センター、ロッテルダム
2003 「Japan: Cotemporary Ceramics and Photography: Tradition and Presence」ダイヒトアホール、ハンブルク
2004 「コモン・スケープ--今日の写真における日常へのまなざし」宮城県美術館
2007 「Towards a New Ease」ヴィンタートゥーア写真美術館、スイス

写真集
『The Sign of Life』、オシリス、2002年