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楢橋朝子『Ever After』

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眠りと覚醒のあいだを漂い、自然と文化の界面に佇む視覚のサスペンス。楢橋朝子の写真に浮上する波打ち際の時間と空間が、危機の時代の思考と感覚を挑発する。

発売:2013年7月15日

総頁数:72ページ
写真:カラー58点
体裁:B4判変型、ハードカバー、ケース入
定価:7,500円+税
ISBN:978-4-905254-02-7
ブックデザイン:服部一成

付録小冊子(和英併記、12ページ)
楢橋朝子インタヴュー 聞き手=八角聡仁
「水際の時に向かって」

水際をとらえた楢橋の写真は、陸という安定した状態から海と陸の境界を見たり認識したりしている通常の私たちの視線を覆し、見る者に驚きと宙吊りの感覚をもたらす。『Ever After』におさめられた、不定形な、融通無碍に変化する水の形象や、水面越しに眺められる山や建物のイメージは、確かに日本各地で、あるいはドバイ、アムステルダム、パリ郊外、サンタモニカ、台北等々で撮影されているのだが、時に被写体は水であることを超え、山や建物であることを超えて、写真の持つ意識と無意識のはざまの領域に触れる。波打ち際に、不安と安らぎが交錯する……。

2007年の写真集『half awake and half asleep in the water』について写真家マーティン・パーは、風景写真の歴史においても基本要素である海と陸、その二つが「このように魅力的な方法で一つに結びつけた写真を私はこれまで見たことがなかった」と評し、楢橋朝子が切り拓く写真の可能性と、その視線の新しさを絶賛した。

『Ever After』には2002年から2011年に至る水際の作品に加えて、同時期に並行して撮影されてきた陸地の作品を収録。陸地の写真もまた、水辺とは異質な不安定な視線、不思議な距離感を備え、本書において水辺と陸地は互いに共振し、呼応する。

15,000文字におよぶ本書付録ロング・インタヴューは、日本の現代写真を代表する一人である楢橋の現在に至る写真家としての歩みと思考を伝えている。

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楢橋朝子(ならはし・あさこ)
1959年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部美術専攻卒業。森山大道のワークショップを経て本格的に写真を開始。1989年、初の個展「春は曙」を開催。1990年には自作の発表の場としてのギャラリー、03 FOTOSをオープン、92年〜97年までモノクロによるシリーズ「NU・E」の連続展を開催、97年に写真集『NU・E』刊行。2003年にはカラーのスナップショットによる写真集『フニクリフニクラ』刊行。写真集『half awake and half asleep in the water』(Nazraeli Press、2007年)出版後、ニューヨーク、ケルン、ストックホルム、パリで同題の個展開催。2009年、「楢橋朝子写真展2009/1989??近づいては遠ざかる」を東京アートミュージアム(TAM)で開催、これを皮切りにサンタモニカ、アムステルダムで個展「Coming Closer and Getting Further Away」。2012年には、3.11後にオランダと野尻湖周辺で撮影された作品による個展「とおすぎてみえたこと??アムステルダム、黒姫」を開催し、小冊子『とおすぎてみえたこと』を刊行。内外での個展およびグループ展への出品多数。日本写真協会新人賞(1998)、写真の会賞(2004)、東川賞国内作家賞(2008)を受賞。現在、東京在住。