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中平卓馬『原点復帰−横浜』

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発行:2003年10月4日

総頁数:192頁(図版=126頁、テキスト=64頁)
掲載図版点数:110点(カラー=69点、モノクロ=41点)
体裁:B5判、ソフトカバー
定価:3,000円+税
ISBN:4-9901239-1-3
ブックデザイン:服部一成

テキスト
倉石信乃 「中平卓馬展 原点復帰─横浜」の概要と構成
八角聡仁 イメージの零度──中平卓馬「原点復帰─横浜」
森山大道 なぜいま、中平卓馬なのか
中川道夫 中平卓馬69/73
ホンマタカシ 落ちない流れ星・夏の思い出・朝青龍
中平卓馬年譜、展覧会・文献目録、他

■伝説の写真家中平卓馬の軌跡を余すところなく収録

写真は創造ではなく、記憶でもなく、ドキュメントであると、私は考える。撮影行為とは、抽象的なことではなく、常に具体的だ。単純なことを観念化して難しいものにしようとするのではなく、カメラという媒体を通して私が出会った現実がここにある。──中平卓馬

中平卓馬(1938年生まれ)は「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれた初期の作品を自ら詩的だと否定し、「図鑑」のような即物的な写真を目指す最中の1977年に、逗子で倒れ記憶の一部を失いました。 しかし、横浜に転居して翌年より撮影を再開、徐々に復活を果たし、現在も日々撮影行為を続けています。横浜は、写真家としての復帰の「原点」 であり、現在も日常的に最も多く撮影している場所であることから「原点復帰─横浜」は作家によって命名されました。

本書は、カラーの最新作に加えて、代表的な写真集『来たるべき言葉のために』の時代の作品、1971年にパリで撮影された作品ほか、中平が写真家として活動を開始した1960年代中半から、2003年の最新作までの110点の作品を126頁にわたり収録。 写真というメディアについて常に真摯に思考し、過激に実践してきた写真家の魅力が余すところなく集約されています。伝説の写真家・中平卓馬の全貌を知る貴重な一冊です。

 

 

■「原点復帰─横浜」は2003年10月4日-12月7日、横浜美術館で開催。2004年4月21日-5月2日、那覇市民ギャラリーに巡回されました。

中平卓馬(なかひら・たくま)
1938-2015

東京生まれ。東京外国語大学スペイン科卒業後、総合雑誌『現代の眼』編集者を経て、60年代半ばから写真を撮りはじめ、同時期よりさまざまな雑誌に写真や映画に関する執筆を開始する。68〜70年には多木浩二、高梨豊、岡田隆彦、森山大道とともに「思想のための挑発的資料」と銘打った写真同人誌『プロヴォーク』を刊行。70年に写真集『来たるべき言葉のために』を上梓した後、73年には映像論集『なぜ、植物図鑑か』で、それまでの自作を批判的に検証。77年に篠山紀信との共著『決闘写真論』を刊行直後、病に倒れて生死の境をさまよい、記憶の大半を失うが、以後も写真家としての活動を継続。2003年には横浜美術館で初期から2003年にいたる800点におよぶ作品群による「中平卓馬展 原点復帰−横浜」を開催し、その図録を兼ねた写真集『原点復帰−横浜』刊行。以降も新作による個展開催、また内外のグループ展にも参加。2011年には大阪Sixにて、大規模な新作展「キリカエ」を開催された。