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安村崇
1/1

安村崇2冊目となる待望の写真集!
《1/1》シリーズの集大成。

発売:2017年12月20日

総頁数:132ページ
収録写真:カラ− 111点
体裁:A3判変型(280 x 297 mm)、ハードカバー

エッセイ(和英併記):
清水穣「イクイヴァレント2017  安村崇《1/1》によるスティーグリッツの再解釈」
安村崇「《1/1》について」

ブックデザイン:服部一成

定価:9,000円+税
ISBN:978-4-905254-06-5

《1/1》は、《日常らしさ》《「自然」をなぞる》《せめて惑星らしく》に続く安村崇の4作目のシリーズとなる。撮影は2008年に開始され、これまで個展やグループ展で発表しつつも、全国をめぐる撮影は2015年まで続き、多数の未発表作品を含む111点が本書にまとめられた。

《日常らしさ》において、中心的な被写体と認識されるみかんやショートケーキだけでなく、安村の関心とこだわりは、壁や床、テーブルクロスやカーテンなど主役の置かれた環境――カメラがとらえたあらゆる細部に向けられていたが、《1/1》は、その作業の延長線上にあると言える。(写真集『日常らしさ』は小社より2005年刊行)。

2014年にGallery αM 開催された《1/1》の個展の際、安村は《日常らしさ》の頃から背景を気にしていたことを明かし、そのきっかけは、牛腸茂雄の『Self and Others』の写真に「背景」に対する写真家の強い意識を感じたことによると語っている。安村の背景へのこだわりは、《1/1》に至って、「背景を画面の外に追い出す」企てに発展していった。

「……《1/1》のグラフィカルな見かけは、まるで主役となる者・物を欠いた背景だけで成立しているかのようである。が、安村のコンセプトはまさに「写真から背景をなくすこと」であった。……それは人間による前景と背景の区別や意味づけを消去して、写真全体を奥行のないフラットなレイヤーに還元することを意味する」(本書収録、清水穣エッセイより)。

個々の写真の撮影地は、大都市を意識的に避けながら、北海道から九州までの広範囲におよび、地方の公園、運動施設、市民センター、港湾周辺など、主に80年代以降に建設された公共施設が選ばれている。《1/1》は、作家の意図を超えて、思いもよらぬ形で提示されたバブル期の日本のドキュメンタリーであるのかもしれない 。

抽象絵画的にすら見える色彩や構図に惑わされてはいけない。写真ならではのディテールを持つ1点1点の作品は、それぞれ「日付」と「場所」を持ち、被写体の前には4×5カメラの三脚を立てた写真家がいた。